■ 部下が1人でも部門長という肩書きをつけるべきか
IPOを目指す未公開会社は、それほど社員の数が多くない。
マザーズのような新興市場でIPO(上場)しようとする会社であれば、30人程度の社員数でも全然おかしくない。
この人数では、部長、課長などの役職をつけていくと、部下がいない管理職ができあがってしまう。
そのため、部長に業務を兼任させようとする。
ただ、これは上場の審査で問題になる。
金融商品取引法において、内部統制を評価することに力を入れている。
IPOの審査で内部統制は、今まで以上に重点的にチェックされる項目となった。
内部統制とは、通常の取引の中で、契約書とそれに関する決済(お金の流れ)のチェックを会社自身が行うことを指す。
未公開会社であれば、社長や役員がお金を出している株主であり、かつ銀行からの借入金にも連帯保証人となる。
社長にとって「会社のお金=自分のお金」となるため、お金の使い方には、社長自身が厳しく目を光らせる。
一方、上場会社であれば、お金は投資家から集める。
社長も役員も銀行の借入金の連帯保証人にもならない。
いわば、他人のお金。
このお金が、上場会社を儲からないことに使われたら、お金を出した人はたまらない。
しかも、未公開会社の時代と違い、扱う金額も億単位。
社歴の浅い社員の数も一気に多くなり、目も行き届かない。
そこで、第三者として監査法人が、それをチェックする。
ただ、監査法人がずっと張り付いて見る訳には行かない。
コストもかかるし、すべての上場会社をチェックするには公認会計士の人数が足りない。
もし、上場会社の社員が自分たちで牽制し合うことができる組織を作ることができれば、監査法人はその機能をチェックするだけでよくなる。
では、上場の審査で内部統制について文句を言われないために、実務的では何をすればよいのだろうか。