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■ 新株予約権を社長に発行しよう

監査役はストックオプションをもらえない。
IPO(上場)したら儲かる立場では、監視役にならないから。
それ以外の人は、資本政策で問題がなければ、誰でもストックオプションをもらうことができる。

ストックオプションとは発行するときにもらう人が1円も支払わなくてもよい新株予約権のこと。
つまり、IPO(上場)したときに、もともと決まっていた価格(行使価額)でストックオプションを行使すれば上場株式がもらえる。

「行使価額<IPO(上場)したときの証券市場での株価」

となっていれば、すぐに証券市場で売ることで、差額が絶対に儲かる。
しかも、税金は利益の10%でよいという特例があるので、90%が取り分。
もし、IPO(上場)しなかったり、できても「行使価額>IPO(上場)したときの証券市場での株価」の場合には、行使しなければよい。
もともと無料だから損はない。

ここでちょっと考えて欲しい。
社員はそれほど多くのストックオプションはもらえないだろう。
社員1人ずつに持分比率として1%もあげていたら、50人で50%になってしまう。
どう考えても、0.1%などの比率だろう。

一方、社長であれば、自分への割り当てなので、いくらでも設定できる。
しかも、無料。
こんな夢のような話がある・・・わけがない。

実は、ストックオプションが2種類あることを話してこなかった。
会社法上では1つだが、税法上は2つあるのだ。
税金が10%でよい税制適格ストックオプションと税金がたくさんかかる税制非適格ストックオプション。
そして、結論を言えば、社長がもらうストックオプションは税制非適格ストックオプションになる。
これは、行使したときに、行使価額とそのときの会社の株式の時価との差額に税金がかかってしまう。
しかも、給料などと合算されてしまうので、最低でも40%はかかる。

ただ、税金が多すぎて儲からないなら、行使しなければよいと思うかもしれない。
でも、そうはいかない理由がある。
1つ目の理由として、社長に新株予約権(ストックオプション)を与えているのは、儲かるためだけではない。
安定株主を作り、会社の経営を安定させるという理由の方が大きい。
つまり、儲かるかどうか関係なく、行使しなければならない。

そして、2つ目の理由が、IPO(上場)する前に行使させられること。
ストックオプションだけではなく、社長が持っている新株予約権はすべてIPO(上場)する前に行使する。
支配目的だけで新株予約権を社長が持ったままで上場することは、IPO(上場)の目的に合わないと証券取引所は考えている。
あくまでIPO(上場)の目的は、お金を証券市場から集めて、儲かる事業に投資すること。

そのため、社長はIPO(上場)できないかもしれない、またはIPO(上場)しても「行使価額>IPO(上場)したときの証券市場での株価」であったとしても、IPO(上場)する前にストックオプションは行使するのだ。
ここで、問題が発生する。
先ほど、税金は40%になると言ったが、これは株式が売れる状態になる前に、支払うことになるのだ。
では、どうすればよいのだろうか。

実際に、ストックオプションを発行するのは、そのときに社長にお金がないから。
もちろん、お金があれば、増資するのが一番よい。
お金がなくても安定株主を作るために、絶対に必要になる。

それならば、新株予約権を発行するのは仕方がない。
ただ、新株予約権の発行価額をゼロではなく、そのときの時価で発行するのだ。
そうすれば、新株予約権を行使したときに税金がかからなくなる。
これが、最もよい解決方法だろう。

(監修 公認会計士 青木寿幸)

投稿又は更新日時:2007年02月12日 16:38


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