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■ 役員になるべき人は慎重に選ぼう

未公開会社の場合、役員を親族が占める場合が多い。
しかも、役員が所有する不動産を借りていることもよくある。
この状態のままでは、上場は難しい。

上場の申請時には、必ず、役員とその取引は厳しくチェックされる。
ここで、親族とは役員から見て、二親等以内を指す。
さらに、役員との取引の「役員」には、役員持株会、役員等によって過半数以上が支配された会社、財務諸表規則上の関係会社とその役員も含む。
役員の名前、役員との取引は有価証券届出書に詳細に載る。
IPO(上場)すれば、全国の誰でもインターネットで簡単に検索できてしまう。

親族にお金が流れていることを投資家が知れば、株価が上がるとは思えない。
本当に、この役員でよいのか、この取引には問題ないのかと検討して欲しい。

まず、取締役の数は、取締役会を開くために最低3人は必要になる。
ただ、1人の取締役が倒れたら取締役会が開けなくなるので、IPO(上場)するときには4人以上は必要。
ここで、人数が足りないので、役員に親族を入れて給料を支払ってしまうことがある。
IPO(上場)したあとで、株主のお金が働いてもいない人たちに流れるのは当然、ダメだろう。
実態的に働いている人だけが役員(非常勤役員は除く)になるべき。
もちろん、親族でも本当に取締役として実態があるなら問題ない。

次に、上場前に外部から取締役を入れることがある。
これは上場の審査とは関係ないが、注意すべき点。
取締役は、内部の社員からできる人を選んで欲しい。
IPO(上場)する目的はいろいろある。
その中に、社員のやる気を引き出すという目的が必ずあるはずだ。
外部から取締役を入れていたら、社員は腐ってしまう。
そんな人材がいないと思うならば、育てればよい。

役員に関しては、最も注意することがある。
それは、監査役だ。
IPO(上場)するときには常勤の監査役が必ず1人必要になる。
監査法人からも、上場の2期前(監査の対象となる時期)から常勤の監査役を雇うことを指導される。
ただ、未公開会社で常勤の監査役がやることは少ない。
しかも、社内資料のチェック(内部統制)のために、内部監査人もいる。
つまり、社員30人ぐらいの会社にチェックだけを行う人が2人。
経費もバカにならない。

ただ、常勤と言っても、毎日来る必要はない。
1週間に2日間以上、会社に来れば常勤と言える。
ここで、親族を監査役にしてはいけない。
働いている実態があったとしても、上場できなくなる。
監査役は独立性が重要となるからだ。
監査役だけは、第三者を選任するしかない。

しかも、社員は監査役にすると今までの業務とはまったく関係がなくなる。
そのため、監査役こそ、外部の専門家や専門知識を持って退官している人に頼むのがよい。
その方が経費も少なく、専門的なアドバイスももらえる。

さらに、上場の申請時には、この役員との取引が問題になる。
役員との取引でよくあるのが、次の3つ。

1.会社が事業に使っている不動産を借りている
2.社長個人が持っている特許権などを会社が借りている。
3.社長が会社に貸付けているか、会社から借りている

これはすべて上場申請時(できれば、もっと前)までには、止めなくてはいけない。
不動産と特許権は会社に適正価額で売るしかない。
会社とのお金の貸し借りも、消すしかない。

そして、役員との取引がどうしても発生する場合には、下記のことを守って欲しい。
1.取引の合理性が説明できる資料を作成して、その金額を専門家である第三者のお墨付きをもらうこと
2.利益相反にならないように、取締役会からの承認を受けること
3.「事業等のリスク」として必ず、開示すること

(監修 公認会計士 青木寿幸)

投稿又は更新日時:2007年02月22日 16:09


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